一般小説で本屋大賞を受賞されたということで(BLだけど)久しぶりに先生の作品を読んでみたくなりました。先生の作品は、コメディであれば気軽に入れるんですけど、そうでないと私の場合、特に重そうなあらすじの時は涙は当たり前、心が押し潰されないよう
にある程度の覚悟が要ります。…ですが『恋愛前夜』2冊は大丈夫でした。(ちなみにシリーズ作品の『おやすみなさい。また明日』は重そうです)
幼馴染みの2人を通して、人の気持ちの不確かさ・不安定さが見せる残酷さを知る一方で、自分の意思で(自分の意思だからこそ)制御しようとしても、どんなにもがいてもどうしたって変えられない・変わらない「恋心」の持つ強かさに打ちのめされたり、微かな喜びを感じたりと、複雑な心理描写が丁寧に書かれていて感慨深いものがありました。
「時間の絶対さ。無限にあるようで、必要な時ほど足りなくなるもの」という一文は、恋愛に限らずあらゆることに通じる哲学みたいなものがあって、先生の感性の素晴らしさに感動しました。
2巻の『求愛前夜』はスピンオフ的な内容で、ヤコ先生のキャラもあってギャグベースのお話でした。もちろん、凪良先生ですから読み応えはあるので心配はいりませんけども。1つだけ不満というか希望というか…欲を言えば「ウェディング衣装の決着」がどうなったのか知りたかったです。何せ4パターンもあって、脳内で想像の自家栽培するにも限界があるかな…と思います。Twitterで投票して、一番人気のパターンをイラスト化してくれないかなぁ。いやいや、やっぱり全パターン見てみたいよな…と、妄想が止まりません。
〜追記〜コミックスの方で、アフターストーリーという形の番外編『Fool For You』があります。
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