同郷出身の天才的ギタリストと音楽雑誌編集者の恋と音楽にまみれた人生のお話。
読み放題にて読了しましたが、こんなに神的作品に出会えるとは思いませんでした。全てにおいて完璧な程美しく、感動で涙が溢れ、こんなにもキャラたちの熱が伝わってくる作品
はなかなかないのではと思います。
まずはストーリーがすごい。流れ、展開、構成までとても良く考えられています。読み始めは宗純と新の関係性だけで話が進み、過去の出会いや別れで二人の恋や苦悩が語られ、再会してから才能が開花し成長する様子が描かれ、そして今に繋がる絶望の物語へ。合間に紡がれる現在の話がストーリー上で合流し、溶け合い、全てを包み込んで今が動き出す。全ての過程が秀逸で、どんどんハマり読み進めたくなります。また、物語に登場する人物たちの気持ちが、多くを語らずとも読者に伝わるようにきちんと絵で表現されていて取りこぼすことがありません。そんなキャラたちの中でも、新と宗純の思いは胸が苦しくなるほどこちら側に流れてきて、感情が激しく揺さぶられました。普通の人である新の嫉妬や苦悩、羨望や尊敬、恋情や不安、後悔や反省、そして興奮と愛。それらが全て描かれています。また宗純は天才的才能の持ち主らしく、盲目的な恋心と少年っぽさ、ワガママで気分屋な性格がとても上手く表現されていました。物語の中で、二人のパワーバランスが変わっていく様子も自然でした。
色々な過去を経て、宗純がPegのメンバーをもう一度バンドに誘う場面は最高のシーン。誘われた時のセリフで返すなんて、粋な演出すぎて涙が止まりませんでした。そして新と宗純のセッションシーンでは宗純が新の前ではいつまでも恋をした当初の中学生のようになってしまう可愛らしさが漫画を飛び出して伝わってくるようでした。その他の場面でもコマ割りや光の演出の仕方がとにかく見事で、この物語に流れる音楽への熱や愛がページの隅々から読み取れました。
男同士夢に向かっている世界だからこそ、熱くなれるものを共有したり、才能を認め合ったり、惹かれ合ったりするもの。でも、宗純が隠すことなく好き好きオーラを出したり、新が当たり前のように受け止めるのはBLだからではない。その一見矛盾に感じることを自然なこととして描いている愛の深い作品です。ぜひ購入して自分の手元に置いておきたいと思います。
もっとみる▼