この作者さんの作品を初めて読んだのですが、絵が綺麗で独特の作風に才能を感じました。
他の方のレビューに「結局どうなったの?意味が分からなかった」とありましたが、確かに分かりやすい少女漫画を求めて読むと、そう思うかもしれません。
この漫画は一言で言うと分かりにくいですが、読者自身に独自の解釈で何かを感じ取って欲しくてあえて明確な表現は無いように感じました。少女漫画というよりは小説のような印象を受けました。
短編集ですが、表題の真野さん目線のストーリーが終わると、あろうことか真野さんが好きになった野田くんが、過去に失敗した恋愛の相手であるみひろ目線での過去話が2番目に出てくるとは思いませんでした。
みひろのストーリーのみを読んでいたら、きっとみひろを応援していたでしょうね…。
野田くんもあれだけみひろに執着していたのだから、みひろが会いにいくまでずっと待っていてくれるだろうと想像していたに違いないです。
ただ、真野さんとの野田くんを見てしまったから、もうみひろとの未来は、私は想像ができないです。
一瞬、みひろとのエピソードなんて見せてくれなくて良かったのに、と思いましたが、おかげで野田くんの気持ちは痛いほど伝わってきたので、結果知れて良かったなと思いました。
一言で言うとこの作品は思春期の悩みが詰まっていて切なくなるけど、応援したくなる作品で良かったです。
「好き」だなんて明確な言葉を交わすことは一切ありませんでしたが
野田くんは確実に真野さんを好きになってしまっていたと思います。
そのことを自覚したからこそ、野田くん自身が誰よりもつらいんだろうな。
戸惑うし、あんなにみひろに執着していたのだから新しい恋を自分がすることも認められないだろうし、またみひろのように傷付けるのが怖くて好きなほど近寄りたくなんてない。そんな葛藤を抱えて身動きが取れなくなったのでしょう。
更に、みひろとの件で自分がおかしいと自覚し自暴自棄になったり傷付いていた野田くん。
そんな彼があえて言った束縛の言葉に、拒絶するどころか受け入れる真野さんを見て、きっともう好きな気持ちを否定できない野田くんが見れる「その後の真野さん」も良かったです。
まだ野田くんを好きなみひろは可哀想ですが、一緒に居すぎてお互いしか見えてない関係は卒業して、新しい幸せを掴んで欲しいです。
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