現代の海上自衛隊所属、最新鋭イージス艦『みらい』が横須賀を出港後航海中謎の暴風雨に遭遇し、突然1942年第二次世界大戦中のミッドウェー海域のど真ん中に出現、目の前に現れたのは大日本帝国海軍所属、あの伝説の『大和』だった――……。
これ
だけ読めばただのファンタジー漫画なのではと、失礼ながら最初は『沈黙の艦隊』をはじめ、数々の名作を描かれてきた『かわぐちかいじ』氏を疑ってしまったのだが、読み進めていくうちに非常に凄い作品だとわかる。
やはり同じ日本人であるも二次大戦中の『過去の人間』に対し、『未来の人間』である平成に生きる自分たちの方が勝ると思い込みがちで、目の前に居るのは自分と同じ生身の人間であるということをどこか実感できずに、敗戦後の日本の文明の歩みを自分の手柄であるかのような錯覚に陥る自衛官の描写も見事。
この作品の見所は数あるし、歴史上の人物も多数「もしもあの頃あの人物が『みらい』に出会ったら?」等々の人間模様も圧巻だが、私が一番思った部分は、
『どんな時代でも人は生き同じ日本人だが、敗戦を知らない日本人と、戦後を知っている日本人』
の軍隊と自衛隊という一見似ていながら圧倒的な意識の違いを、何故ここまでうまく表現できるのかに鳥肌を立てさせられることもしばしばな作品だとおもう。
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