私は数年高校で臨時で働いていました。地元に児童養護施設が無かったのでそもそも自分が住んでいる県に児童養護施設があることすら知らず、勤務していた高校にも施設の子がいなかったので社会的養護について全く知りませんでした。2年前勤務した学校は地元か
ら離れており、そこに施設で暮らしている子どもがいたことで初めて児童養護施設の事を知りました。私の居住地は地方の田舎で、それまでは児童養護施設という名称も知らず、漠然と孤児院は東京や大阪のような都会にあるものと思っており、田舎である私の居住している県に5カ所以上あることに驚きました。様々な事情で家族と暮らせない子どもたちの支援をしたいと思い、今は児童養護施設で児童指導員をしています。入所している児童は、入所理由は様々ですがぎゃくたいやネグレクトを受けた子供が過半数で、叩かれたり蹴られたりはよくある話で、首を締められたり勉強をしないとご飯を食べさせてもらえなかったり洗濯機に入れられたりと、まるでドラマやニュースのような話も2024年でも普通にあります。その境遇からすぐに暴言を吐いてしまったり、暴力をふるってしまったり、感情のコントロールが出来ずにすぐ怒ったりパニックになったりしてしまう子どもたちと日々向き合い、少しでも子どもたちが家庭復帰できたり将来社会に適合できたりするよう日々支援をしています。生来の発達障害、知的障害やぎゃくたいによる二次障害としての発達障害、愛着障害を持つ子が多いですが、彼ら彼女らは普通の子どもたちと同じように日々を楽しく過ごし、一方で時にはその境遇から一般家庭の子どもは経験しない苦しみや悲しみも感じながら生きています。普通の家庭で育ってきた人からすると、どうしてこんな些細なことで怒るの?といった疑問は日常茶飯事です。そんな子どもたちに日々の生活の中で、私たち職員は適切な支援を行い、子どもたちが家庭復帰出来るように、家庭復帰が難しければ子どもたちが将来独りで社会に出た時に困らないようサポートしています。この本を見て、少しでも児童養護施設や社会的養護について世の中の人々の理解を得られればいいなと思い、レビューを書きました。生身の人間同士なので、決して綺麗事ばかりではいられないけれど、それでも懸命に生き抜く子どもたちと、真正面から日々子どもたちと向き合っている私たち職員の姿を知っていただければと思います。
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