皆さんは海外コミック(タテヨミ漫画)が日本人には読みにくいと感じる理由をご存知でしょうか? それは海外のコミックは作画(とカラーなど)を楽しむ点です。タテヨミコミックと日本の漫画では、漫画の読み方自体がそもそも違うんですね。日本で汎用的な四
コマコミックのような早いテンポと違い、海外ではフイルムのコマ送りのように漫画を楽しむのです。なので、日本人の漫画とはテンポが違って「なんだか読みにくい…」と感じてしまうわけです。こちらはタテヨミの読みにくさを軽減するために、日本の漫画のコマ割ふうに編集されています。日本の漫画の感覚でよむと、アニメのフイルムコミックのように「展開が遅い」と感じてしまいがちですが、この作品はそんなことは全くなく、日本の漫画ふうにテンポ良い展開でサクサク読めて快適です。作画の方が日本の漫画に慣れているか、造詣が深いのかもしれません。内容は良くある不遇な公爵令嬢が戦場に出て強くなるという話ですが、キャラが良く立っており、作画の方のギャグセンスが素晴らしくて途中から笑ってしまうこともしばしば。悲愴な過去もサクっと描かれて嫌な気持ちになりません。カラー着色も目が痛くなるアニメのようなドギツイ色使いではなく、調和を重視した繊細でやわらかく美しい色使い。失礼かもしれませんが、原作小説の挿し絵よりずっと素敵です。なにより素敵なのは作画。人物のスタイルが良い。美しい。男性も女性も主要キャラたちは引き締まった適度な筋肉と狂いのないデッサンが最高。特に主人公の女騎士の顎から首筋やうなじから肩にかけての線が美しすぎる。序盤は陰鬱な展開でなかなか食指が伸びないと思いますが、途中から(特に王様が惚れた辺りから)めちゃめちゃ面白くなるので、是非読んでほしい。私はこの漫画のおかげで少女漫画とタテヨミコミックに対する苦手意識がなくなったので、気になってるけど迷ってる方は騙されたと思って読んでください。あと、めちゃめちゃ健全だから小さい子が読んでも安心の純愛展開です。
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