小さなことを大きく悩み、深刻にこれでは好きな人が自分を好きになってくれるなんて一生ないかも、だなどと、思春期の悩みは大人のそれより、遙かに果てしなくて、暗黒時代みたいな重さがある。その頃の真剣で地球の滅亡よりも大事みたいな気持ちで悩むその頃
って、まさに恋愛感情の芽生えも同時発生期で、本当に、今にして思えば、あれほど前途を悲観して辛く感じた日々は、我ながら可愛らしかった。あくまで遠ざかったからこそであるが、今は微笑ましい。
真っ只中は、肉体的なコンプレックスが、異性を意識したときに、世の中の上手くいってる人達とを決定的に隔てる、克服不可能なハンデに思えてしまい、道を歩くのも人と話すのも授業の時にも、ふと、ふと頭をもたげてきて、自分駄目だ、絶望的だ、と、悩みは時を選ばず完膚なきまでに打ちのめすことはあった。
此処では身長という、ある程度最大公約数的な悩みが主人公を苦しませる要因に選ばれている。私は別の事だったが、よくわかる。長女は上手に甘えられないとの立場もまた、十分理解できる。
大昔、「チッチとサリー」という評判の高いカップルの話があった。背が高い事は今では必ずしも卑屈になる要素ではないが、長年背の低い女子からも背の低い方がかわいいでしょアピールもあったりと、背の高い女子は相対的に、対男子という点では損をしてきた事はある。微妙な背の高さの男子は、背の高い女子はキライと公言してたという話も幾度か漏れ聞いている。163センチの私は自分の年代としてはまあまあ高いほう、「でかい」と言われて傷ついた経験もある。外見上のどうしようもないことをわざわざ言う男子は残念ながら居るので、そんなエピソード全ての代表としての設定として読んだ。
それはさておき、幼なじみの成り行きも少女漫画の典型的な題材として語り尽くされてなお普遍的魅力を持つ。結果を急ぐ向きには合わないスローモー展開は、私にはこれにはこれの、これまでの時間と、年頃になって機の熟してきた感とが、水出しコーヒーのような味として生み出されるような、そのたっぷりと時間を掛けた抽出ぶりを楽しんだ。既刊6巻読了。未完結は手に取らないのだが、河原先生の長編は青空エール以外完結前でも手を出してしまっている。
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