冷ややかに見える画風なのに矢鱈おかしくて、信じられないほど突飛な設定を引ける才能に、居直ったような虚構。そこがシュールで、引き込まれた。言葉がストーリーをジャンプをさせてかなり省きがあるのに、唐突感何故か無く、逆にサッパリとした魅力あり。
白っぽいと見えても手抜きの白さではなく、 作者世界の主張をしかと感じ取らせてあり、グレー使いが巧み。細やかさゆえの白さ、というべきだろう。
女装とか、男子だらけに女子紛れ込む、というのはあるし、主人公はモテモテというのも安定の少女漫画路線。
なのに、そんな展開のどの作品とも被らない。
ラインが太くないがふらついておらず、その迷いのなさが、ストーリーの特殊な環境に作品世界の中のリアルを持ち込む。
崩しすぎるくらい崩したギャグ的表現に、もう少し人間関係の綾が負けてないと良かった。
しかし、これでいいと思えてしまう。
そのくらい、作品の放つ個性に、ねじ伏せられた。
女性アレルギーという発想、私には大和和紀先生の「はいからさんが通る」に出てくる青江冬星編集長以来だった。女子を感じさせない女主人公「類」が男子男子校に入り込む設定は「花盛りの君たちへ」が大胆設定で寮生活までさせていることを思い起こすと、本作は類がふらふら焦点定まらぬ軽い迷走するほど(祷真、遥祈、秦来)というのが、寧ろ違和感ない。一途にひとりだけを想い続けるのも素敵だけれど、目移りしたり他の人の良さに気づいて意識してしまうのも、人間だから有りかと。
フラフラするのを悪いこと、と決めつけてしまうと実社会でも遊びがなくなるしで、花男でつくしが司と類でふらついたのが話に厚みを生んだように、本作もまた、どっちなのか自分でもわからないと主人公に自問させる場面まで描写したのは、色々巻き込まれ感が膨らんで良かったと思う。
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