辛い思い出を持った二人が、それぞれ相手の辛い思い出を思いやれる相手であること。愛情深く、苦しむ人に助けとなる事が出来る人。それも自分の胸の痛みを乗り越えていないのに、脇に置いて。。。
二人ともそんな素晴らしい人間性の持ち主なのに、身近な不幸に苦しむ、という残酷な境遇。
このストーリー、メイン二人の人生を最も左右している妹や息子のほかにも、元国王妃も孤独に置かれたお兄様も皆幸せとは言えない人生を送った。
そんな中で、生きてる人は幸せになろうよ、という話。
橋本先生の描く男性は野に在って魅力を放つタイプが多いので、「無頼漢」と、かの有名なNGO所属してた設定とピタリ合う。顎の斜め下からのアングル多用で、それがいい。顔の下の方の骨っぽさがキャラに合う。
また、ヒロインがフッと思い出してしまうドミニク画像の出し方も技あり。突然フラッシュ出現する存在感でコミックの視覚効果発揮。
二人とも相手に気持ちが入って行きながら、セーブがかかる状況を読み手としてまぁ仕方ないよね、と、理解しつつ、うまい具合に、意識的にも、または意図なくても、二人をサポートするストーリーに、こちら側ではーーー。
でも、そんなこれまでだった二人だからこそそこをなんとか、という気持ちを代弁させて、物語をポジティブに、うまく物事が回りだす期待で盛り上げる。
ヒロインの会社はどうなるのだろう。物語の主要な部分ではないが、従業員などいなかったのか。
ラブはきれいに収まっている。
「まるで我が家に帰ったよう」、「不思議だな/君といるといろんな事を思い出す」と、この感じ、いい感じだなぁと、二人のシーンに読み手のこちらもも二人の相性を感じとる。
形式に流れず、情熱の高まりがあって良かった。
「ラウルのむき出しの情熱が/私のとまどいと抵抗をはぎとっていく」いいシーンだ。