頁数が少ないのかと思う。読み始めたと思ったらもう最後の頁。脂の乗ってる人気作家の数本の連載を抱えているような雑誌だったら、一冊で何本も楽しめて、その上クオリティの悪くない読み切りまで入って、という30年以上昔の感覚でいったら、もうこれは、勿体ない提供方法。作品には一切不満はないが、ただただHQの値段の高さに腹が立ってくる(読者を怖じ気づかせ獲得し損なってるだろう)。
ストーリー展開は、勘所を押さえた手際の良さが光る、綺麗な話。人物はメイン二人がとても美しい。
麻生先生の描かれるキラキラのセレブ感、王族のプライドや、お育ちの良さから滲むキャラの軽薄でない高潔感。
お約束通りのストーリー。それを眺めて楽しむ居心地の良い作品。休日のゆっくりとした時間に、少しの心のエネルギーを補填出来る丁度良い読後感。
価格の高さだけが残念。このような作品が三作ひとまとめにで一冊に編集して現行価格というぐらいが、自分の中では適正な価格水準。
頁数と価格を決めるのは、編集・出版サイドの話だろう。私が読み始めて二度値上げがあったと思うが、読者層をアテにした安易な値上げで、割高感はどこかの国の燃料税問題のように一触即発の領域だ。このサイズの作品単独なら300円(300p)以下でいいと思う。
こういう肩の凝らないキュートなロマンスが好きなので、もうわかっているのに何回も頁を手繰ってフワリと気分を軽くさせている。
「君はそのままでいいんだ」
「彼女と赤ん坊が無事なら僕はもう一生何も望まない」
読むたび、この台詞を言うチャールズの頁に来ると頁をめくる手がスローベースになり、その現場の空気感を想像して吸い込んでいる。