これがHQとは惜しい!
読者を限定してしまう。ほんとに、残念なこと。
ハピエンだから好んで読んでるHQだが、ファンタジー系はHQのラインナップにはメジャーであるとは言いがたい。
絵がよくて話が面白くロマンス成分しっかりで、もうもうまだこのミニシリーズの半分読んだだけなのに大変気に入ってしまった。
ただ、一巻目の兄編と、この(1)(2)で二冊に分かれてる弟編のほうとは、話に節目がある。一巻目の次を早く読みたいと思った勢いは削がれた。
話の接続上のこと、仕方がないが、逸る心を戒められてしまって、どこへ一巻目最後の勢いを持っていって、(2)を読み終わるまでどう静めたらいいの?、という感じだ。
一巻目はの兄編より、こちらの方が話の個性はよく出ていて、こちらの方がクリエイティブだと感じる。
一巻目も面白かったが、パワーで強引な邸内へのヒロインを引き留める長兄ダンテより、対照的に何度もヒロインを手放そうとするこのギデオンの魅力に、私は軍配。それにヒロインの口を借りて彼の魅力を表現されると、そのまま彼女の目になって魅力を見ている気になってくる。二の腕のこととか。
また、各頁のそれぞれのコマの見せ方、頁内のコマ配置が藤田先生作品は洒落ているのだ。だから、超常現象のインパクトも空間が広がる感じだ。その方が、アクションシーンに迫力が出て、場面場面に繋がりも出る。その上で時間の経過や気持ちの揺れや変化も伝わる。
コマをまたがる絵が、藤田先生らしいはみ出し手法で、登場人物の単なる「どアップ」の絵柄ではない叙情性をにじませて、さらっとした印象にしている。確かな腕だな、といつもながら思う。