HQに限らずお話の世界にはよくある場面が、このストーリーにもある。心にもないことを口走る当人の、心の中では相手に、違うと言って、と叫んでいる場面が。私にはこの種の展開は共感しにくい。106頁、ヒロインが本心とは違うことを声高に・・・。
こういう展開ほど、当人の独り善がり行動はないと思っている。言葉にして面と向かって言われた相手の方が、裏腹などと知りようもないのに、そうじゃないんだろう?などと、カン良く気づくことを期待するのは、何かの甘えだとしか感じ取れない。心の声を抱えていても、発してきた相手の言葉を額面通りに受ける方がまぁ普通だと思うが。内心の期待通りの言葉を言ってくれる見込みは実際どうだろう。相手も心にもないことを言う可能性があるし、どんなリアクションをとるかを、そもそも自分だって言ってることと内面の異なる人間が、相手に一体何を期待するというのだろう。人は違うとでも言うのか?
言ってほしいことを相手が見事察知してくれて先回りがピタリ合ったとしても、ただ忖度しただけで、実のところ、本心などではなかったら?
結局どの言葉に頼るのが正しいのか、相手を試した人間の側だって確信持てないだろう。
すれ違いはドラマだけれど、このシーン有った故に、私には微妙な感想を抱く結果となり、残念。
失職、仕事の紹介、契約の持ちかけ、家族の資産運用、巻き起こるイベントは目まぐるしい。色々な人物の出入りも賑やかだが、ちょくちょく手を差し伸べてくれた彼が終始ヒロインの救世主。
失職のときも食ってかかったが、彼の行動ばかりに非があるわけでもない。
彼がヒロインに関心を持つきっかけとなった、ヒロインのお金持ちに対する穏やかならぬ視線も、なにかがどう、という展開には結び付かなかった。
二人の関係が曖昧なのはしっかりと確認を取り合わない両者の問題で、それ自体はHQの公式のひとつのようだから横に置いたとしても、個々の出来事と二人の恋愛感情、全てが別々にある感じ。
プールシーンの後の展開に、冒頭との違和感もある。