ぶれずにずっと気持ちは続くが、互いに一歩踏み込めていない二人。しかし会えば求める気持ちを抑え切れないのも確か。
子どもっぽいキャラが不思議に割と闊歩するHQコミック界で、篠崎先生は、ちゃんとヒロインは大人。ラブシーンの空気を艶めいたものとしてしっぽり描ける。再会を相互確認した後の二人のコマは、二人が二人の間に妖しく漂う雰囲気に呑まれ、いつでも性的関係にもつれ込みそうな、ギリギリに立っている感じが出ている。
ヒロインの抱えていることは、伝えるタイミングが難しいし、言えるムードもなかなか無かったけれど、互いに二人の関係を相手がどういうつもりかも知り損なって従兄弟の結婚式の日まで来てしまったけれど、伝えられたのがそのタイミングだったのは悪くなかった。それは意外に(?)相当に相手を好きなことを伝える事にも繋がる訳だから。
彼のヒロインへの執着が結構私は好きだ。要するに忘れられない一夜だったのはどちらも同じだったわけだ。
そういう二人になってしまったら、気まずくなったり、喧嘩したりするといたたまれずやめることになるのは部下だから、会社組織の中での恋愛は味方が居てもいずれ出るのは自然だ。但しあのきっかけは、もののはずみ的だったかなぁ。
公私混同するなと理屈はわかっていても、実際、確かに彼の心配はその通りだったろう。
それにしても西洋物では、映画でもお話でも、頻繁に家族がオフィスを訪れるので、これこそ公私混同との謗りを受けないものなのだろうかと、よく思う。職場恋愛は公私混同の極み、ひかれあっているならなにも言うことはないが。
また、二人各々優秀な筈だが頭取職辞して早期隠居?凄い資本家設定の話。
118頁、ナタリーが、ではなくナタリーを、だと思う。ベス宛の手紙は二人の仲から自然だが、彼の母親イレーネやナタリーとのウマの合いそうなヒロインのキャラが親しみを感じさせ、その反面フレッチャーの馴れ馴れしさをも呼び込んでしまったとは思う。売り言葉に買い言葉のように離れた前の職場から送別会の企画。ヒロインの人柄のそんな描かれ方に、落ち着いた周囲を想像させ、舞台には安心感がある。
銀行トップに来てから再会後のところ、時間経過変と思う。他の秘書とのことからして面接に来るように言うタイミングと、「数ヵ月後」の関係が。
月夜は描かれなかったが、邦題は好きだ。(原題の素っ気ない客観的なものよりも)