このボスは悪気はないのだろうけど、ヒロインには酷な仕打ち。解ってないから始末におえない。
それだけに、読者を引っ張って引っ張ってそのクライマックスでヒロインに訪れる歓びをヒロインの気持ちにダブらせて味わえる。
ヒロインは悪くないのに、忘れてる彼に一人合点のあらぬ誤解を受けたりなど、災難の連続。しょうもないヒロインの母親に対してもヒロインは不思議なほどに殊勝なことに愛していて。
もうこんな目にあった貴女は絶対幸せにならないとオカシイ、という感じで読者の気持ちの底に溜まっていった物を、失っていた部分の記憶を取り戻した後の彼が行動で晴らしてくれる。
最後惜しみなく幸せ後日談を描写してくれて締め括られる。
心から、めでたしめでたし、おしまい、という温かい嬉しさで一杯になって気分よく本を閉じるのだ。