嫌なタイプの男性が財力に物言わせて抱く、悪寒が走るようなこと。ところがヒロインは読者の私ほど彼のことをそこまで嫌ってない。
ヒロインはたくましくて安心する。
HQの男性は、よくできた女性を見出だすことが多いが、誤解で女性を侮辱することもまた多い。審美眼はあるのに、相反する節穴の眼。魅力を発見できたのなら本当は偏見や先入観など持ち合わせてないと変だと思うのだが。。。
愛人になることを飲むなんて、はたからみればおカネ目当てと思われても仕方がない。でも、当人にはやむにやまれぬ事情。これもHQの定番。
ストーリーは安定のHQ標準。これぞ、という展開である。
彼は悔いる。ヒロインへのむごい扱いを。追い詰めて愛人にした自分を卑劣だったと。
ここはわりと、気づきに力をいれてあるので途中で勘違い人間だったことを当人がそうだったのか(今まで俺は何を・・!)、という場面がちゃんとある。そのため読者的に満たされない感は少ないが、終盤の懺悔はそれでも当人にけじめをつけて態度と言葉に心からの詫びとなっておりスッキリする。
この作品でヒロインは嫉妬の心を彼にさらけ出す。それを、彼も嬉しいと思う。
と、そんな場面が、特徴的に彼女のそれまでのクールさを裏切ってくれる。
自分は彼の特別な存在だと思い始めていたプライドを傷つけられ、自分の立場を思い知らされたようで関係を終わらせることにした。
別れ際の言葉に「永遠に」が入ってるのが、キャラが見えるようで面白い。
姿を消す、妊娠して、迎えに来る。この一連の展開はベタ。
それでも、私はその場面に、ヒロインカッコいい、と思った。「百万年経ってもあなたとは結婚しないわ」好きな人がプロポーズしても彼じゃダメだと。「法廷~」(!?)、苦笑、言い放ってる!
彼のプロポーズの言葉に対して気持ちのいい辞退の言葉で返して、なんとも威勢がいい。好きな気持ちはまだたくさんあるのに言えちゃうんだ、、、と、敬服。
この場面でこの作品の値打ちは星ひとつ半ほど跳ね上がった。