この物語の全ては、ヒーローヴィット母の「あの人なしでは生きていけないわ」という言葉にある。想像の外にある2人の環境は、どんな理屈も倫理観も阻害して そこにある。それでも、愛情は強くあって 可愛い息子も誕生し 苦悩は闇へと強い吸引力を発している。これらを解消するためには、お互いを理解するために それぞれが考える時間が必要で 熟考の為に必要なのは 真実。そこに捻じ曲げられたものが存在することで 正しい方向を見失うのだ。ヴィットによって真実を露にして、屈するようなヒロインジリアンのそれは、彼女を責めるのはお門違い。それも理解しているヴィットに懐の深さを認識する。空恐ろしい不安定な足元だが、それでも同じ場所に身を置く両者として 誰にも理解されなくても お互いが理解しあっている事こそが 一番重要なのだとわかる。