マックの受難だったのか、幸せ到来の予兆だったのか、災い転じて福となす、を、地で行くストーリー。ヒロインのイライザはピンチの時も、慌てず騒がずの大物。体を張ってマックを守るシーンは、小悪人のノミの心臓を圧倒。
当初恥じらっていたものの、悪党の指示に逆らえず下着だけの姿になる。そこまでは、乙女のピンチのハラハラがあるのだが、吹っ切れてからのシーンがこのストーリーの本領発揮。
月明かり、二人の他には居ない場所で、明日のこともわからないのに、そこでその時味わう楽しさ。後でヒロインに忘れられない思い出と言わしめる、ひととき。
ヌードのコマが多数あるのに健康的な裸で、恥ずかしがるマックのリアクションが逆に、一糸まとわぬ姿が本来エロチシズムをかきたてるものであったことを思い出させる。あっけらかんとして、さちみ先生のあとがきにあるように、確かに風呂場の空気?
私は、互いを意識し合う場面として、もう少しロマンチックだったり、妖しい空気欲しかった気はする。
うまいので、話がテンポよく進み、そして、ドレスのお針子の、他人の幸せを祈る美しい想いも胸に広がる気がして読み終える。
騒動の中のマックは使える男ではないが、人柄が良くて美男設定金持ち設定、リアーヌの気持ちがよく分からない。それが感情というものなのだとは思っても。みんな幸せならそれでいい、という決着ありきのお話だが、ヒロインの出たとこ勝負のおおらかキャラが作用して顛末を楽観的に楽しめる。
コメディにも才能を見せつけて、絵も達者、ストーリーもちょっと奇想天外な展開、肩の凝らない娯楽作品として最適。ヒロインをこき使ってたはずの女主人まで幸せにさせちゃってー。
かえすがえすも藁のシーン、甘いムードもう少しあったら最高だった。