世の中、虐たいによる長期間にわたる恐怖と絶望により、本来無垢であった人の心を悲しく変えさせてしまうような、極悪犯罪を、絶対に許せない気持ちは持ち合わせながら、今でも私たちは、被害者全員を救済しきれていない。
たとえば死亡事件などで事が明るみになるまでは、それが密室犯罪だからだ。いたいけな子どもを大人が守らなければ、子どもたちを守ってやる術は他にはないというのに。
反抗的な目、その言いようにゾッとする。言葉だけで暴力である。元夫が子に言った。そんな目はしてなかった。何を勝手に思い込んでいるのか。別れるカウントダウンは既に(私の中で)始まっていたが、自分が悪くないとの思い込みも不可解だ。子を可愛がれない人間は父親の資格は無いのだ。
悲しすぎる過去を背負った人間というのは程度の差こそあれ、どんな人でも己の心を閉ざしてしまうのかもしれない。恋愛も傷つけば、ハイ次、などと簡単に思いきれないように、もっと辛いであろう親の愛情不足は、もはや天真爛漫に振る舞えないのだろうと思う。
本来得られて然るべきなのに、受けられなかった親の愛、故に、ヒロインへの心のさざめきに戸惑う彼。
一方ヒロインも苦労人設定で、これまたHQ定番。
また、雇い主と秘書、という上下設定もお定まりの、雇われ人の限界が障壁として立ちはだかる。
家政婦一人で大変だなあ、とか、ネチッと絡んで来る地元名士の一人の嫌味、かわすの大変そうとか、あれこれ思うが、取り敢えず良かったね、の感想。
彼はやっと安らげる、ヒロインも一人で頑張らなくてよい、というのが何よりで。
これは弟の狙い(?)に思えてしまう。グッジョブだ。
絵はきれいで、子どもじみてもいないから、HQとしてこれならOKだ。家政婦さん、秘書のような外見、よく仕えてるなあとの印象。
ロマンス自体は至ってオーソドックス展開。
彼の心ひとつが鍵。領主様設定には、仕方ないか。