簡単に話が進んで、ツルツルと展開し、コマの一つ一つがジャンプしていって、あっという間に終わった。
二人の愛も、それは愛と言えるだろうか、くらいに読み手としてのめり込めない。
HQは虚構を承知で読むわけだが、そこに自分が踊らされないと。空気に酔えなくては。
物語世界にもっとしっかり連れ出して欲しい。HQは絵空事、でも、読んでるひとときは浸りたい。お話の中に何かしらのリアリティーを感じ取らないと、登場人物の誰にも気持ちが沿っていけない。
間(ま)の存在感がないところが弱点かと思う。
絵に時の流れや心情の動きがたっぷり滲み出すと胸一杯にロマンスを味わえたのに、散発のエピソードが唐突感を何度も招き、ロマンス成分がほとんど盛り上がらなかった。ベッドシーンが、あるかないかがそれを成立させるのではなくて、お酒に負けるのではなくて、だ。