「裏切り者に薔薇を」「囚われの宝石」の三部作長男編。いずれも面白かったから、期待も当然あったが、期待はずれではなかった。ストーリー骨格はHQ定番で、赤ちゃん抱えるヒロインが、父親絡みの問題で彼と出会った話。
写真家は、長いこと白黒写真にこだわる人が多く、
そこが、白黒で表現する漫画と似ていて私は好きだった。
この作品に出てくる写真を見て、桐坂先生を感じ、ストーリーは三部作中一番普通だが、ヒロインのアートに共感する画廊経営者という説得力を感じた。写真数枚でもしやと思う彼の感性、豊かな感性の持ち主というイーヴァのミカエル評を裏付けて自然。数枚の写真も、その前のエッフェル塔付近散歩からの展開自然。ここでの写真もインパクトあり。小道具や背景が美しく使われている。
コミカライズをされた桐坂先生の力が、本作品のクオリティを高めた。
建物外観の絵なども素敵だ。
男性が、冷たく見えて実は繊細で情が深い、というのもよく出ている。子どもにきちんと向き合う男性でもあり、言うことなしだ。満点。