守られることの安心感。男臭さの塊のような人物が口に出して守るといってくれた。複数箇所に描かれた肉体が裏付けとなり、出会えてよかったと心からほっとしている自分がいる。ロッキーが居そうな下町の一角。第一印象を悪く持たせて登場する演出。
気にしてる関係から、愛し合うようになるまでが、途中すっ飛ばされた感じがして、ちょっと待った、という気分である。
凶悪な人物のいつ現れるともわからない恐怖が画面一杯にある。HQなのに暴力の迫力はよく出ていて、サスペンスよりホラー調で、悪人の面構えも一癖あり、違うジャンルのコミックを開いている錯覚に教われる。
武骨ながら情の熱い男たちが、傷ついた子どもを、子どものその新しい住環境に馴染ませてくれる。これ、女の子だったら全然違う話になったな、と思う。
俳優の名で男性の人物像を語るのは分かりやすくてよかった。
私は、救出後に緊張がほどけたドラマ的余韻の場として頁をもう少しそっちにも割いてほしかった。ずっと気が休まらない中では、慰めも要る。でもこれはヒロインの過去も現在も悩まされた暴力からの一時的な逃避感情からなどではない、という確認を読者としてはしたい。ベッドシーンでの彼に彼の感情は分かるが、彼女の彼に向かう盛り上がりが解りづらかった。
ヒロインの経歴等バックグラウンド設定と、犯人の影に怯えながらも冷静さを失う訳ではない描写とで判る説明なのだが、絵で確かめたかった。
だが、これはこれで、ひとつの世界として、生活と汗とがそこにある雰囲気がよかった。
その生活のなかで、彼の現在の職業はジム経営ということだが、親父さんが一人でやっているように見える。その為、最初読んだときは、プー太郎に見えた。それでいてヒロインのことを守るためにかつてのフィールドみたいなところに彼がいる筋運びがどうしても私にはダメだった。どれ程伝説の名コップだったとしても。
絵的な繋ぎが説明の役割のために欲しいところがあった。
二度目に読んでみて、人を振り回すタイプでなく、ヒロインのことを大事にしていることが伝わるため(正義だけでなく)、星ひとつ修正した。
一度目に読んだときは、暴力人間の恐さが強烈で、ヒロインと、ジョシュの側の立場中心で読んでしまったため、作品の中で彼のよさが肉体のアピールに終始しているかのように読んでしまっていた。