3巻読了時点で一旦レビューを。尚、3巻は各巻にもある「あとがき」があるほか、17頁に渡る河内先生御贔屓のラジオパーソナリティとの対談あり。
喋りと音(音楽)がラジオは多いため、漫画も自ずと文字躍る。私は苦にならないので楽しめた。
売れない芸人である男性主人公ソータの目がかなり目立つぎょろ目で、そこは気になる。また、彼のキャラ描写が少し強くて、目の前で危なっかしいことやると水無月の気持ちになって多少イラつく。
それが愛すべき主人公ともいえる。
周囲がなんだかんだ温かい、人のつながりによってラジオ番組って形成されてる、という実感がある作品。石渡さんとの絡み、お話だよねという部分を残しつつも、どこかで誰かが新しい人を面白がって引き立てる、という感じが、ラジオという媒体の永続性を予感させて良かった。
今、レビューを一旦書きたくなったのは、星野チーコと松戸の話、特に、声のところも含め、ものすごく泣けたから。いや、たくましくしているけれど。うっうまい、とここへ来てこんな風に展開するかぁ~と。主人公以外の山場が到来した。
かつてタレントのラジオ番組の為に毎週放送局入口に行っていたせいか、局の感じは想像ついたし、その前にアイドルファンしていた頃に公録(公開録画と公開録音いずれもコウロクだが)で何回か中に入って面白く眺めた景色もまた思い出す。そして、毎週楽しみに聴くラジオの持つあの空気、空間に放たれる様々な音声がなんか各々独特で私も好きだったが、それをびっくりするほどいろいろ掬い取ろうそしている河内先生のラジオ愛が充満している漫画だ。とある長寿番組をモデルにしているエピソードもはっきりソレとわかり、笑った。結末まで読み進めるのが楽しみだ。全5巻。3月に買って塩漬けていたが、雄伏の時を経ていい塩梅で世に出てくるソータ、彼に芽が出てくるのを見れてるこの読書タイミングが、近頃の心の疲れに効いてきて励まされる。
ハガキ職人サマサマ、顔は普通にわからない。ラジオネームだけ。リスナーに目配り、さらに周囲が絡んで。起承転結で言ったら正に「転」の3巻を経て、まさかそういう…。
読み終わって、これでいい、そう感じた。
このとてもパイの小さそうな層をいきいき描き、支持層も限定的と思われる作品が、まるで他のメディアに押し潰されないよう頑張っていた。まるでradio局の小さなお部屋から電波の届く限り広がっていく様に。