赦しのテーマはほんとに難しいと思う。実際人間は許せないという気持ちがあるからこそ、それをなにか別のエネルギーに変えて生きている人は多い訳で、自分自身も、悔しかったり此のままでは済ませられない気持ちが、何かを生んでいることもある。
絵がキチンとあって、背景も宮殿らしさも雰囲気がある。
時々人物の表情の影が多めでスッキリしないこともあるが、概ね豊かで繊細。見ていて安心。
憎しみの連鎖は断ち切られた。二人が過去の確執を乗り越えて見せた。親は親、しかし、そう割り切れないのが世の常と思う。
それを、共に殺意というものを心に抱いた経験者として、これからも乗り越えるすべを体現するのだろう。
敵も味方もいつの間にか意識なくいつの間にか人を好きになっている。私は不倫未経験だが、物語のそれが実は人間の真実と思うから。立場を忘れて恋に走ったそれぞれの親達が、家庭のほうでは本当に夫や妻から愛し愛されていたかどうか。死人に口無し、ヒロインの父は、話とはいえ、凄いことを実行したな、と、驚くばかりだが。
自分の中に恐ろしいものがあると恐れる王子は正xxxなのだからそこ全然違うのに、したことは着地は同じだから悩む。
王族の結婚に愛が期待出来ない前提の話はたくさんあるが、HQはさすがHQ、ラブ中心でこの展開か、と、唸ってしまう気持ちもある。
二人の気持ちが、前半のヒロインの赦しの気持ちと、クライマックスの彼の懺悔と、二つのヤマをストーリーに迎えるが、懺悔周辺の描かれ方にはもう少しドラマが欲しかった。不倫の一方の当事者たるヒロインの母が絡むだけに、ヒロインの増悪に関しては紙幅十分だが、ヒロインが知らされる驚愕の真相の方については、遂に彼が語る、というタイミングに、咀嚼の時間が要るだろう。予兆を見せる事はあったにせよ、