星合先生の描かれる男性に会いに来ました。いつもより目がパッチリ、縦にも横にも少々大きめ。
本当は、先生の描かれる女性も好きなのです。バービー人形もかくやと思わせる、愛らしさと品のある美しさ。どの作品も美男美女。
映像メディアだと女優俳優が汚れ役演ってもやっぱり綺麗、というのと同じで、HQも、常にキレーどころ揃うのはアリだと思う。
漫画というものは、ストーリーも絵もセリフもモノローグも、コマ一つ一つの切り取りどころもカメラアイのアングルも、全ての要素のバランスが要求されるトータルな創造力の産物と思ってます。しかも日本のコミックは基本フルカラーではなく白黒二色刷の制約を受けて表現される、読者に投げ掛ける想像の遊びの部分も多い、究極の二次元エンタメ。私はとりわけ、美的センス重視。
星合先生の描く人物は表情豊かな方ではありません。
けれども、ゴージャスなのも、ドタバタなのも(このストーリーには笑いをとるシーンはない)描いておられ、かなりザ・HQしていて、一度表紙をめくると、すっかり旅が出来ます。
HQの中東はナンちゃって中東ですが、騙されるにしても、こうも、らしい宮殿がドンと出現、砂がどうの、というくだりがあるだけで、空間は中東っぽくなるからアラ不思議。
話は体のいい拉致・逃げ場のない閉じ込めじゃないかという、「ほんとは怖い」ペルシャ湾岸某国の国家犯罪フィクション。ヒロイン当人が愛を知らず、国王である彼の優しさで人を愛するってこういうことだったの?なんてところに落ち着くため、ギリギリ結果オーライな話。
里親の非道を糺す、はるばる中東まで、そんなところでボロ出すか?という、疑いも無いわけではないですが、ヒロインのこれ迄の不幸を、彼の愛だけで良しとせず、キッチリ復讐してくれたのは、ストーリーの非主流ながら何だか良かったです。
考えてみれば、「砂の檻」よりも、社会的に温かさを期待されてた養育家庭の方が里子たちにとっては一種のとんでもない「檻」。それを、彼が代わってこれ以上犠牲になる子が発生しないように、未来の子供たちを地獄から解放させたことの方が、功績として立派です。
彼の顔ズームアップ数コマで小さな眼福。
彼がやっと本心をヒロインに語る終盤数頁を、自分に語りかけている気分で読ませてもらいました。
ヒロインの身体の線の崩れがありませんか?。
追記
「砂の炎」対比