よくある秘書もの、上司とできちゃうという、ハーレクインに限らずとも社会人恋愛物語の一大ジャンル。なのに、やっぱり魅了されるシーンの数々。
笑顔に喜び、彼女には幸せをと思う気持ち、妊娠かもというとき、嬉しくなってしまう感情。どれも、ロマンスを楽しむストーリー。いい作品に出会えたときに胸に走る痛みを、感じることが出来た。
それに、スーツの後ろ姿のかっこよさ! 藤田男子のイケメンぶりも見とれることがあるが、スーツなのに!服の上から醸し出すオーラが良かった。
そして、ヒロインを失うかもしれないときの動揺には、彼の心と同調して私の心臓はシーンが移るまでずっと変調した。その位、ストーリーの中に入り込めた点でこのストーリーは、ストーリーテリングの巧みさに因って、HQお定まりプロポーズシーンにプラスアルファの感動を読み手に運んで来たのだ。
骨格がありきたりに見えても、この話は、恋愛感情のベーシックなところで、二人の胸中が読み手の私の胸をちゃんと衝いてくる。
彼アレックスは自分で見るなと戒めながら眼は唇に行き、君とこんなのことになるなんて、なんて言って一線を越えて離れがたくなる。唇に囚われるシーンなど、もう、これよこれ、好きな人とは目以外のところにも視線が行ってしまう状況、わかる!って、独り、合点を得てしまった。
よく相手を見ている二人、自分の心を押さえなくちゃと思う頭とは正反対に、接近は止まらない。相手の全てを望み、他の人には絶対に無いポジションを占めていく相手。
ものすごいドラマなどなくても、味わえるストーリーだ。