大切なタイミングに何かがあって、相手を失望させてしまう。
ヒロインは、完璧にはこなせなかった役目に対する自分への、相手の失望を強く感じ取り、耐え切れないでその場を去る選択を。
ヒロインは何故二度とも、何を大切にしたからその役目を果たせなかったか。その理由に、彼女のとても暖かい人間性が象徴的に溢れる。
そして人と接するときの明るく気さくな感じは本当に魅力的、それがヒロインのキャラであり、愛情の豊かさそのものが最強の武器であって、家柄ではない。それが証拠にビリーに対する全力育児が、血の繋がりはなくても、何処の誰より、親子の情が通っている、との説得力が読んでいてある。
彼もヒロインも真反対の経路を辿りながら、暖かい家庭に向かって、いい毎日に変わったと思う。しかも、仏頂面をしなくなっていて。。。
彼の結婚の動機、最後まで読者を引っ張るが、子どもへの応対ぶりの描写にそこそこ紙幅を割いて疑わせない確かな構成で、取って付けた嘘っぽさはない。
人物は少し地味な絵だが(但しアレックスの横からの立ち姿描写は二回は、好みの絵だった。それと、流石にアップのカーリーは可愛い。ビリーも愛らしく、また赤ちゃんぽさがよく出ている。のけぞって泣くシーンなど特に!)、中流以上と日々ギリギリの生活という、人物以外のところの描写で、両者の違いを視覚的に表して、手堅い説得力がある。
それにつけても前社長の台詞、企業人幹部連中の発想がイヤらしいなぁとは思う。
花津先生の手書き文字、詰まって読みにくいときがある。