ずっと好きだった人とハピエン。好きなパターンの話。5歳の頃から16年間好きだった人とだなんて、こんな幸せないだろう。10年15年好きなんて珍しくない。「大人」になってしまった人や冷めている人には解ってもらえないけれど、気持ちはやめようとしてやめられるものではないし。
HQはこれだから好き。話がどれ程あっさりしてても、どんなに大きな波乱無くうまくコトが運んだとしても、ラブの成就が疲れた自分の体に英気を運んでくれるよう。幸せな二人を見せてくれて、安心感や平和な気持ちが満ちて来る。
彼の16年を見てきて、どれだけやって来たかを一番知っているヒロイン。もうだめか、の所からの展開は嬉しいよね。彼女の、彼に受け入れて欲しい思い、苦しい一方通行が、殆ど物語通してあるので終始胸がチクリ。
HQだから振り向いてくれるんだろう、との期待はあっても、あんな誕生日エピソードなどあったら、もう忘れられないの理解できる。
彼はヒロインの良さは見えているし、恐らく誰にも勝る理解者だ。
いやしかし彼の保護者としての義務感や責任感は非常に強かった。思わずヒロインの魅力に引きずり込まれそうになりながら、数々の抵抗で己を無理にも取り戻し、ヒロインの結婚を画策し続ける人。
そんなに自分を他の人とどうしても結婚させたいのね、と、夢破れて彼のもとを出ていくヒロインの気持ち、本当にかわいそうでかわいそうで。
ただ、事故情報でヒロインを案じて走り出す、というのはベタ展開過ぎて、彼サイドのプロセスに「守る」から「愛する」への過渡的描写が不足して、ジャンプがあり、少し強引なクライマックスの持ってきかたに多少ガッカリ。尤も、「守る」の趣旨には沿うので、「守る」と「包む愛」は同義とすれば問題ないか。可愛くてたまらないんだろうな、と、心底羨ましい。
5才の時の優しい19才のお兄ちゃんはずっと理想そのものだったろう。
この手の話は切り替え点がいつ来るか、が要だろう。回想の絵はコミカライズの醍醐味、ヒロインの片想い史をなぞるようで、切ないけれど、その分このストーリーは盛り上がる。
秋元先生の絵が、二人の保護者被保護者のもどかしい、突破できない関係を、刹那に異性として認めてしまいそうになる彼の様子に、読んでるこちらが、危うい感情が抑えきれず迸る彼の感情を味わう。彼当人の自覚の代わりに行動が物語るさまに萌え堪能。