長い髪が絡みつくようにストーリーはヒロインの父親の非道ぶりがいつまでもどこまでも関わってくる。
悲劇の母親の事件がヒロインを恐怖に陥れて長く暗闇に閉じ込めた。
でも、自ら脱出を試みるのが偉い!
ストーリーはヒロインの頼もしく唯一の大きな協力者の捨て身の協力あってのもの。その彼デイヴィーは自分の命が危ないのに、恋愛感情が無いのか?
そこ、本当は気になってしまうところ。しかし一度ならずもう一度救い出すその勇気と正義感。この行動には、実行仲間をどう募ったのだろう。それとも、単独で?、否、単独での実行は不可能と見える。
蛮族と恐れられていたヴァイキングであるアグレイヴァーが、美しい碧眼の逞しき男性として描かれ、何度か目を見張る絵で、清潔感がある。
ヴァイキングの彼の素敵さは絵の中で随所に解る気がする展開であるものの、上半身裸の場面でちょっと肩と胸がアンドロイドのような肉付きで、あれ?服着てないより衣服着ている姿の方が何倍増し、と思ってしまう。何度か出たが男性の裸体は、うーむ、だ。。。
彼の甲冑姿は北欧人ならではの背の高さを感じさせて凛々しいのに。
ヒロインは可愛らしく、ほんわかムードもビジュアルにあり、長く虐げられてきた身の上にしては、とてもそんな暗さ卑屈さが見えない。
二人がひかれ合うのはいいが、デイヴィーがヒロインを守るつもりの場面が二人の絆を深める一方、守ったはずの彼が自身の立場を余計微妙にしたと思うと、最後にフォローのその後の彼登場というのが、いかにも後付けで、作り話臭が余計増した。
決闘も、肉体派というか見るからに武闘系のヴァイキング氏に挑むか?、普通、という疑問で一杯。出来レースが仕組まれていても、やっぱり釣り合いというものがあると思うが。
細やかな描写がとても綺麗で、最初から引き込まれた。
美意識の高い絵ばかりで驚かされる。
ただ、二人が結ばれた時の見開き頁はいい朝、という感じで見とれるので絶対必要だが(横開き向き)、一頁全段くりぬきひとコマの決闘の方の絵は大きな作りを活かしきってない気がした。
あと、二人の全身像のプロポーションがしっくり来ないのもあった(37頁)。