危機に瀕している人を助けようと行動するのは理屈ではないが、その為の訓練を受けていない者にとっては自らの命をも犠牲にしてしまう可能性を孕んでいて、だから一瞬 躊躇してしまう。その場で 助っ人として命を落としてしまった場合、美談として語られはしても、ヒロインメリーのように女性としての尊厳を傷つける場合や、身体的機能に欠損が生じた場合、その行為に「よくやった」と称えるよりも「無謀な事をするな」と誹謗中傷する人のほうが多いと思う。どちらも無事に生還してこその行為なのだと受け取られるのだ。この物語のヒロインは正にその只中に在ったわけだ。悲しくも彼女は看護師という立場の男性から侮辱され 女性としての幸福を諦めることになってしまった悲劇に私も言葉を失う。このケースは同性からのどんな言葉も慰めにはならないし、好きになった男性に知られ 去られるかもしれない恐怖は体験したくはないだろうから、どうしてあげらたら良いのか答えが見つからない。それでも彼女は、助け手として血液を提供するという 何とも善良すぎる部分が、かえって痛々しい。彼女から後光がさしているかの如く女神的「献身と品性」を 見抜いてくれるヒーロージュールダンとの出会いがあってよかったと 身震いするほどに物語としての夢とロマンスを堪能できた。