冒頭の出会いから、空気の読める男性だとは感じていたヒーローキングズリー。それだけではヒロインロザリーには不足だった。心に身体に染み込んだ恐怖は、簡単には払拭できない、10年と記述はあるが経過時間は関係ない、男性が肩より高く手を挙げたなら、次にはそれが自分へと振り下ろされると見えて防御姿勢が出てしまう(条件反射)。恐らくは一生ついてまわる。そんな時、その度ごとに 傍にいて大丈夫だよと手を取り背中をさすってくれる手が無ければ、立ち直れない気分が覆うのだ。こればかりは、強さという次元の話ではないのだから。だから、たとえ結婚を受け入れても、先々もキングズリーが憤らなければよいがと老婆心が出てしまう。背景の作画も見事で、叔母の家は私も住みたいと思わせる 温かみのある佇まいと庭だった。東屋での2人の会話は、キングズリーをまだまだ信頼できる者としての立ち位置には無いが、強く逞しい男性に見せるには、少々背景が不足気味だ。彼の周りに女性しか配置していないのは作為的なものなのだろうか?そこさえ充実できていれば、眉目秀麗さが際立ったと思うのに残念。そして、ロザリーの決断に生死を分ける事象を用いるのも残念な気分を残したが、このハピエンを純粋にたのしめた。