ヒロインの気持ちが離婚を踏みとどまらせるところまで、彼の言葉でスイッチングした様子の視覚化が物足りなかった。彼の方は妻として抱いたあとはぶれなかったが、ヒロインのほう、わざとお友達アドバイスのシーンで切ってみて、ストーリーをもう一度弾ませようとしたのかも知れないが、効果は疑問。作り手の転がしかたが次の場面で結論を出させる為のドラマの力不足を目立たせてしまった気がする。少なくとも迷っている所を見せたのだったら、その「熟慮」からの行動に対して、読み手の私が、二人のやり取りの中でのヒロインの心境なり、様子なり、それらの動きをきっちり見せてくれないと。
彼のほうは、態度、ことば、そしてヒロインの行動へのリアクションは映し出されている。だからこそ、ヒロインサイドの、夫と話し合う時のプロセスを見せて欲しい。
表紙の絵に少し引いた。もっとポーズに、意味を色々考えさせられる含みのある所が欲しいと思った。
英先生の描かれる男性は、いい感じの育ちの良さなり暮らしの余裕なりを漂わせるビジュアルであること多いのに、時々堅苦しさで見た目には時折老成して見えて損も多い。
三十代の男性、ヒロインと年が離れていても、まだまだ若いはずなので、もう少しそこを滲ませて欲しいと思う。
鼻の描かれ方に、彼を魅力的に見せない平たい線を感じることがある。
「大学は来月からか」、と、『大学はいつから?」ー『1ヶ月後よ」、とが同じ日、同じ場所での会話にあるのが気になった。その重複に気づかないほど、何をしゃべったかわかってない心理にある、というのなら、そのように見せてくれるといいのだが。
3.5~3.7のつもりで。