《既読であることを記録するためのレビュー》
父の遺言に振り回される息子その3の巻。
牢獄のような厳格な寄宿修道院女学校から連れ出してくれる王子様ストーリー。ヒロインは、無菌室から出されたばかり、という心配のされ方で、実は自由に飛び回りたい。遺言は後見役を息子その3に命じたのだが、この息子は遺言者の財産はアテにする必要のない人間。まだ見ぬほかの兄弟への、会ってみたい純粋な好奇心、対抗意識が彼を動かす。一人自分の力だけで社会の生存競争に勝ち名乗りを挙げた彼は、それだけで圧倒的な自信と存在感を漲らせているから、ヒヨコの刷り込み現象もあってヒロインには彼は魅力的過ぎる。
ストーリーは前半そこまでひかれなかったが、人物以外の描写には思わず目が止まる。人物の絵には、丁寧さを少し欠いたコマ散見。
3兄弟の父である父親が凄いと思うが、遺言書いてるくらいなら、もったいつけず呼びつけて会うなりコンタクトを生前取ったら良かっただろう、などと考えてしまう。それではこのお話成立しないが。
それにそこまで調べ上げたなら、血の繋がった父子は対面しておくべきだったのでは、とも思う。それについても、それでは遺言設定で不都合か。
セットで読んだ。3兄弟揃い踏みシーン、お互いに初対面で今後の兄弟付き合いへの発展を予感させるところまではいいが、頁余ったような印象も。
コンプリートしたい人は、このシーンで達成感を得られるのかもしれないが、私はそのいくらかをヒロインへもう少し共感を深める描写に回してくれたほうが良かった。