昔の漫画は一冊のボリュームが凄い。にもかかわらず、原爆が落ちるのは一巻の終わり。戦中の日本がいかに貧しく、不公平であるかが描かれている。日本人自らが進んで言論統制に参加していく様子が描かれていて興味深い。
二巻の最初で原爆直後なのだが、合計十巻もある。つまり戦後の日本復興とその闇について描かれている。日本教育の現場が戦後でも反天皇になっていないことに驚いた。
また、ゲンはかなり大声で歌いまくり、怒鳴りまくり、泣きまくる。今の日本でこれをやったらヤバい子である。ゲンは仲間とバラックを作ったりかなり遠方まで歩いている。たくましい。今なら多動だのADHDだの分類されてしまうかもしれない。
戦争反対漫画という側面が大きくクローズアップされがちだが、近現代の世相変遷を生々しく描いていて凄い。
反日などと評論する人もいらっしゃる。が、あらゆるとこに喧嘩売ってるような作品。なので全ての人の心に何かしらのささくれを作るだろう。
唸りをあげているような少年の成長記録でもある。
先生の画力やスピード感、物語の構成力に恐れ入る。