このレビューはネタバレを含みます▼
表題作の他に6編が収められた短編集。巻頭の宮沢賢治の詩に着想を得た大島先生が描いた詩情溢れる物語「いちょうの実」がいいですね。紙の本でも持っていた本なので、(当時)読んでいるはずなのですが全く印象に残っていませんでしたが、今回再読してみて、文庫に組み直すというか纏める時に収録する順番はかなり考えられて並べられているのかなとか考えてしまいました。というのもひといきに、先生の世界に誘い込まれてしまいましたから。大好きな「秋日子かく語りき」はラストが壮絶なまでに美しく、コミカルでありながら残酷な「山羊の羊の駱駝の」も良かったし、夢と現実が交差するSF的な作品の表題作「ロングロングケーキ」も良かった。夢か現実かあやふやな世界でコタと宇さんはずっと一緒に生きてほしいと思いました。