遊んでいると思われているゴシップ情報紙の中心人物がヒロイン。だが、ずっと心のなかには十代の頃からの初恋の人が。世間のイメージそのままに彼を誘って、関係を持った。彼女は念願のホテルオープンを間近に控えていた。
彼は、ヒロインのやり方に不満な父が差し向けてきた人。
どちらが懐柔しているのかされるのか。
奔放なイメージを逆手に取って興味本位の人々を扇情し、自らが新ホテルの広告塔になる手法を、父親は勿論、彼も嫌った。父は、ホテル業界の盟主だから、その品格を落としかねないところを、また、彼は、大切な人がそんな目で人から見られて欲しくないから。
彼は、ヒロインが演技で大胆に振る舞っていることを見抜いた存在。ヒロインのことをよく理解できる人。
このストーリー、内容が内容だけに、過激なやり方で人の耳目を集める過程や当人の振る舞いが、そういう線に沿った描写。内容と絵柄がピタリ合っていて、夜の都会や、パーティピーポーが派手にマスコミを賑わすような光景がきらびやかに展開。読者の非日常を、登場人物の日常として、このハーレクイン紙上を借りて表現することには、充分効果が出ている。
だが、派手に見えて素は一人の孤独でうぶな心の持ち主、という設定が、思いきりその規格の上限を突き抜けてる。彼一人への一途な想いを心に秘めて、でも、スケールでは、HQによくある規格、つまりセレブとタブロイドに日々載るレベルにある。思いきり華やかに繰り拡げられる虚飾に満ちた世界と似て、ストーリーのほうも、ほぼ全編に渡り、都会マンハッタンのイメージに合わせ、うわべを飾り付けたけれども、飾りをむけば実は骨格はオーソドックス。うわべは、うわべ、本当の私を、彼ならわかってくれた、、、という話。突き詰めれば、親子も初恋も、シンプルに成り立っている。
スタイリッシュにゴージャスに、という狙いでは田舎臭さ無く、成功している。
ヒロインの本心の描写に共感しづらかった。
星は3.5だと思って欲しい。