ネタバレ・感想あり炎のダイアモンド セットのレビュー

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テキサスの大牧場の跡取り娘の恋
2018年12月9日
日本なら攘夷か尊皇かの明治維新前夜。アメリカでも奴隷制廃止か存続かも争われた南北戦争。南の端っこと北の端っこはそこまでではないけれど、境目にある地域は大変だった。このストーリーは、ヒロイン父親の殺人事件の問題。アダムの余りに凄惨な事件の犯人云々は、読者としてなんらスッキリしない。しかし戦争終結後の当時を象徴する、各所に無数にしこったごたつきに作者は触れずにはおれなかったろう。

冒頭の殺人事件は、顔見知りの犯行を匂わせつつ、「よそ者」を嫌う人間の性質にも鋭く切り込む。
コミュニティ皆が知り合いだから、余所者に排他的、というのは、小説でも映画でも散々語られてきたテーマ。これもあって、実は本作品の隠れた背骨は硬派と言っちゃ硬派。

他に疑う人は居ないから。みんな信頼関係で結ばれてる。

この容疑者は証拠不一致で無罪、これがヒロインの疑心暗鬼のもと。
でも、知れば知るほど好意が育つ。

ある意味、このシリーズ作品の4姉妹が4姉妹たる所以を作り出したのは、罪作りな冒頭の、彼女らのお父様。戦争が憎しみの連鎖を引きずってなかなか抜け出せない不幸とすれば、父親のあちこちに娘を作ってしまった精力的な人を愛する行動はその対極。
海街diaryを連想する4姉妹は、次第に同じ父親に可愛がられた素晴らしい思い出を共有していることから、結束していく。
アダムがなにくれとなくダイアモンドを(心配で)構うところが、二人の間に起こりつつある化学反応を起こす。ダイアモンドがどう対処していくのかにかかってきて、彼女の頑張りがアダムへ、警戒心ではなく愛情へ移り変わる。読む進める中で、HQという読み物を読んでる気分を実感させてくれて良かった。

先に読んだ「テキサスの真珠」のヒロインとカルのベッドシーンも、この作品のアダムのそれも、同じような台詞で、現代よりもそれが人生の大きなエポックメーキングであると、それとなく示している。
殺人事件が絡むだけに、こちらも彼の負傷シーンが出てくる。
似てるとも言えるが、シマ争いをするのが広い意味での戦争だから、無傷で終われない。

緊迫感をクライマックスまでうまく漂わせ、ロマンスも、キスのことを考えてば悩むヒロインや、妹達の恋愛サポート、彼への好意に正直になった後のヒロインの動き、など、見所を用意しながら成長させ、犯人との対決に入るので、掻き足りてない痒い所が残った感じはしない。
牧場隣だからまとめちゃえばいいじゃん
2020年4月1日
こういう時代劇好きではないので続編を読むのもかなり先だろう。女性は男性の都合よい価値観でしか存在できない窮屈さが腹に据えかねるから。この物語は違うのかと期待したのだが、ヒロインダイヤモンドの生き方はそうではないとはいえ、料理や云々出来ない事にレッテルを張られているわけだから同じ。父親オニキスの あり得て奔放な人生に男としての強さやスタミナに驚くけれど、読んでみてもテキサスへ来てくれる価値観を持った女性には恵まれなかったという悲しさも見えて、それでも出会った女性の生き方を生活の拠点を奪わないという心の広さと資金力に唸らされた。同じように、ヒーローアダムの責任感と強さにハンサムも手伝っての恋物語には2人共にウブさがあって失笑したが、こういう時代の話はこういうものという枠内に収められている気がして何だか気落ちする。昔読んだ「赤毛のアン」や「大草原の小さな家」や「風と共に去りぬ」など、労働するのにも女性にはあのドレスを着なければならなかった苦労はモンドリウツほどストレスに感じて心底は楽しめない。
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まるで長編ドラマを見てるよう
2019年9月30日
無罪になった父を殺した容疑者を許せず、彼の命を狙うヒロイン。なのに何者かに狙われ始めるわ、彼と行動する羽目になるわ、不本意ながら彼にときめいちゃうわ、挙げ句の果てに父の娘だと名乗る女が立て続けに訪ねてくるわ...ヒロインを追い詰め、そして変化させていく出来事が可哀想なくらい次々と起きる。恋愛面は、強がりで素直じゃなくなかなか気難しいヒロインと、トラウマ持ちの謙虚な彼なので、もだもだすぎてちょっとイラっとすることも。でもそれも含めて、濃厚で読み応えのある作品。
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