カラーもモノクロも、とにかく雰囲気のある趣深い絵を描かれるので、眺めているだけでも買ってよかったと思います。お話の方も壮大で、扱っているテーマも深いので読み応えがありました。ただ、物語の厚みに対して巻数が足りていない感じがしました。途中までは良かったのですが、ラスト2巻でいきなりNo.2のアーサーが出てきてから全てが説明臭くなり、置いてけぼりをくらったまま迎えたラストも微妙な感じでした。
格闘シーンは迫力があって、大勢の拳闘士だけでなく、星の数ほどいる観客の一人一人も丁寧に描き分けられており、背景まで全て作者様自身が描かれているのではと思われます。この作品に対する作者様の愛と情熱を感じました。物語の設定なども「よくこんなことを思いつくなぁ」と思うくらい細かいところまで考え抜かれていて感心しました。それだけに、もう少し要所要所を掘り下げられるくらいページ数に余裕があったら、凄い大作になっていたのではと思えて、もったいないなと思いました。
私は察しが悪い方なので、まだ気付けていない部分もあると思います。何度も読み返して作者様が何を描きたかったのか感じ取れたらと思いました。