このレビューはネタバレを含みます▼
巴・サンダース・尭弘にとって、日本は文字どおり母なる大地、母が生まれ育った国なので、今までに何度か訪れたのでしょうか?でも、横浜の『港が見える丘公園』の近くの古い洋館を壊して新しく洋館を建てたようなので、もしかすると永い吸血鬼としての命のうちでは初めての帰国なのかもしれません。
それでも、丁度いい時を選んだようで、山神太地という夜の月の影響を受ける魅力的な男に出会うことができました。今時珍しい穢れの無い純粋培養されたような男太地を知って、尭弘の魂は震えたでしょう。太地と親しくなろうと彼是画策するも、月の影響もあって恋人までの道のりが順序不同になって可成りややこしくなります。
太地も尭弘に関わることで、不安定で二重人格めいた自分を安定した一人の人間に昇華させることが出来ました。尭弘の生命の危機にも己の血を彼に捧げることで、尭弘の命を救うことが可能だったのでした。尭弘にとって、太地は自分の命を差し出しても守りたい人になっていたのです。それは、太地にとっても言えることなのでしょう。此の時に二人の結びつきは固くなって、離れがたくなったようです。
太地は精神的にも強く心が柔軟性に富んでいるので、これからの二人の生活は毎日がイベント続きのような夢と驚きに溢れるものになりそうで、尭弘も太地も幸せに暮らせそうです。
尭弘は二度目の日本のようです。前回は神戸に暮らしていたのかもしれません。