このレビューはネタバレを含みます▼
(月)、(夜)、(星)の三部作と知らずに、(星)から読み始めてしまいました。何故なら、表紙の絵と試し読みに魅かれたからです。そして、(月)については、表紙の絵が余り好きではなかったので、試し読みすらしませんでした。私は、絵が自分の好みでないと読まないというところがあります。今、三部と二部を読み終わって少し後悔しているところです。
吸血鬼は美しいものを好むようです。住むところは勿論のこと、食事も美食でしょう。美食を提供してくれる人は見た目だけではなく美しい心を持っていることが第一条件なのでしょう。
ヘイゼン侯爵は、元美食提供者の赤根が見つけ出した天之昴の心の清浄さと無欲なところを気に入っていたけれども、彼が自分を恐れずに愛するようになるとは思ってもみなかったでしょう。最初に彼に出会ったときに予感はあったかもしれません。彼が直ぐに無心に自分を受け入れたので、些か驚いたことでしょうが、自分が彼を愛するようになるとは想像すらしなかったでしょう。
昴と共にこれからの永い時間を心満たされて生きて欲しいとつくづく思うのですが、地球の状態があまり良くないので、後五百年生きるのは無理かもしれません。それでも、愛する者と共に生き共に死んでいくなら、それもまた幸せというものでしょう。