冷酷で傲慢な医長・古谷(攻め)と、自信がなくて卑屈な研修医・白井(受け)
この二人が出会って、強引に関係を持たされるところから始まります。
白井は自分の性的指向にもコンプレックスがあって、「好きになること」自体を怖がってる。一方の古谷は、感情で動いてるのか分からない、「好き」すら自覚してない、でも手放さないという、かなり厄介なタイプ。
「好きじゃないのに手に入れる」関係です。普通の恋愛と決定的に違うのがここ。古谷の動機って最初、恋愛じゃなくて“興味”とか“支配欲”なんです。
ここがめちゃくちゃ不穏でいい。
そして受けが“愛される側”じゃない。
白井はよくある「守られる受け」じゃなくて、卑屈、自己肯定感が低い、相手の顔色をうかがうっていう、かなりリアルでしんどいタイプ。
でも物語が進むと、少しずつ「自分」を取り戻していく変化が見どころ。
それにしても古谷の執着の形がえぐい。
古谷は一見クールだけど、手放さない、逃がさない、でも優しくもしないっていう、感情の表現が歪んでるタイプ。
いわゆる「溺愛」じゃなくて無自覚な独占欲、これが全編にじわじわ効いてくる。
この作品の一番の魅力は、甘いシーンでもどこか緊張感があって、何か壊れそうな空気がずっとあるところです。
愛なのか支配なのか分からない関係を、じっくり煮詰めた作品といえます。
読む人選ぶけど、刺さる人にはめちゃくちゃ深く刺さるタイプのお話です。
そして、文章力のえぐさをこれでもかと感じました。