私は普通の海外のロマンス小説にも飽き始め、いわゆるエロティカ作品にも関心を持つようになり、読んでみたのがこのシリーズ。
SМの美学や魅力、愛する相手を複数間で共有する愛の形については、私としては理解・共感まではできないながらも。
だがそうしたこのような話についての個人的な好き嫌いはともかく、この作品の哲学的な部分や独自の世界観には惹かれる部分があるのも事実。
そこら辺はさすが人気作家と言うべきか。
ただ、日本ではいよいよ、それまで最後の一線までは越えなかった、このノーラとウェスリーの関係が大きく変化するという部分で翻訳が終わってしまっている。
消化不良過ぎる。
個人的にはノーラとウェスリーが最終的にはどうなるのかについては大変に関心があったので。
どう考えても、ウェスリーはノーラとは違う世界の住人だし。
でもこのまま、彼らが恋人にならないままのはずがないし。
そしたら原作では「天使のはつ恋」に続く、このシリーズ三冊目でついにノーラとウェスリーは恋人にはなるものの。
ところがノーラの誘拐事件とかいろいろとあって、やはり彼らは別々の道を歩み始め、その後のウェスリーは何とソルンの姪で同年代の少女ライラと結ばれるらしい。
予想外に平和的な結末で驚きだが、自分としては一番しっくりとくる結末でもある。
ノーラの世界の住人になっているウェスリーは私にはとても想像ができなかったので。
更にこの「天使のはつ恋」で同性愛カップルになったグリフィンとマイケルの方はその後に正式に結婚までするらしい。
このようにいろいろといよいよ話がますます面白くなる前に日本では翻訳が終了してしまい、残念。
それは原作は全八冊もあるので、海外程には固定的なこうしたエロティカ読者がいない日本では全部翻訳するのは難しいのはわかるが。
それにしても、せめてノーラとウェスリーとの関係に決着がつく、「The Red Years Series」四部作くらいまでは全部翻訳して欲しかった。
紙の本で利益を出すのが難しそうならば電子書籍として続きを出版することは無理なのか?
でも日本の出版社はまず紙の本の方として十分に売れていないと電子書籍版にまではなかなかしたがらないからね。