スティーブ・ジョブズの自伝は数あれど、ジョブズ自身の全面協力で書かれたものは本書だけだそうです。なので、本人提供のプライベートでの写真やエピソードも多く、とても楽しめました。ジョブズ本人や家族だけでなく、彼を取り巻く(あるいは取り巻いていた)数多くの人々からのさまざまな証言から多角的に描き出される「素」のジョブズは、実に難解で複雑な人格の持ち主です。時には並外れた天才。またある時には理解不能な奇人。側で見ているには面白いけど、これが同僚や上司では辛くてやり難いし、恋人や夫や父親だと耐え難い時もあるでしょう(特に娘のリサに対する、気まぐれかつ身勝手な愛情の示し方は、本当に理解に苦しみます)。この伝記は、そんなジョブズの全てをさらけ出しています。読み終わった後は、「カリスマ的変革者」ジョブズのイメージが大きく変わること、間違いなし!