このレビューはネタバレを含みます▼
本書原作で漫画化された物語も面白いのですが、原作小説のあるものは出来るだけ読んでおくことにしています。母子家庭で苦労する母や妹のためにどうしても就職先を決めたかった青年は、就職先が半グレの会社だと気づいたあとも率いる乙矢恭一に惹きつけられて深みにはまっていく。裏社会と一般社会の狭間にいることで頭角を現すも刺激的な毎日も慣れてしまえば輝きも面白さもなくなっていくものの、裏社会のルールに馴染んで犯罪を犯しても罪悪感も麻痺して金だけが残っていく日々。恋人も友人も家族も捨ててやがて所属する半グレのトップに上り詰めていく。不良と称されているヤクザ稼業の人間も、組組織を持たない犯罪集団の半グレも、ほとんどがほんの僅かなきっかけで裏社会で生きる事になってしまった人たち。でもその世界のほうが馴染み、住みやすい人たちは確かにいるんだよなあ、きっと。犯罪は肯定できないのだけれど、哀しいなあ。