序盤、帚木さん男性ですよね?と検索したくなるくらいびっくりしました。
男性がともすれば陥りやすい岸川医師の考え方を、客観的にとらえ、それを女性主人公の立場から明快に否定しているからです。
妊娠や出産に関してはさすがに「男性」としての限界が見えました。主人公の個人的事情があるにしても、これはないなぁ、と思ったのは事実です。
ただし、テーマであるISについては、帚木さんは非常に注意深く取り扱っており、好感がもてました。
結局何も問題を解決しないまま終わってしまい、それが推理小説としては致命的ですが、難しいテーマにじっくりと取り組んだ意欲作である点を私は評価します。