ネタバレ・感想あり羆嵐のレビュー

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羆の恐ろしさ
2021年4月4日
人間が巨大な羆に対しいかに無力か、が実感できる内容。恐らく自分も当時の現場に行けば、小説の中で情け無く描かれている大勢の救援隊と同じ心境、態度になるのは想像される。その人間の心情の変化の描写がとても上手い。木村盛武氏のノンフィクションも合わせて読んだが北海道の山野の厳しい自然は今もほとんど変わらずそこにあり、小説を読む前に訪れた三毛別の再現地の鬱蒼とした森の中を思い出すと今だに怖いです。当時の人々はそんな原野に近い森の中に生活の糧を求めたのかと思うと尊敬の念しか湧きません。
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良かったです。
2020年4月24日
最後までハラハラドキドキでした、
野生動物が生息する土地に当たり前のように
傲慢に住み着こうとする報いを痛感しました。
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衝撃的
ネタバレ
2018年6月17日
このレビューはネタバレを含みます▼ 熊害事件で有名な実話、三毛別羆事件を取材の元に小説に起こした作品です。
この事件の羆は巨大な体躯の為、巣穴に体が入らず、冬眠する事が出来ずに冬の間さ迷うことになった『穴持たず』で、特に凶暴な性格を持った羆です。
女性の肉の味を覚えた羆は以降それを執拗に求める習性を体現していて、その描写はとにかく悲惨でした。
この作品はwikipedia等の記事には載っていない三毛別市長や、事件の中心となる六線沢の村人の心境、マタギの銀四郎の荒々しい性格等、詳細に描かれており、特に市長と銀四郎のやり取りは概要だけでは知り得ない内容を多く含んでいます。
三毛別羆事件の詳細が知りたいなら一読するべき作品ですが、被害者は妊婦や子供が中心で過激な描写もありますので、その点ある程度耐性もってから読むことをおすすめします。
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ヒグマによる惨事の記録
2019年7月15日
実際にあった事件をもとに淡々と時系列で出来事を追っていく小説ですが、それが却ってホラーじみた怖さを感じさせます。巨体の羆には村の住民は何ら防御策もなく、いつまた襲われるかわからない不安を抱えて苦悩します。読み進めて行くと、火を恐れることはない等ヒグマの習性もいろいろと明らかになっていきます。短めの文章ですが内容は重いです。
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作家名: 吉村昭
出版社: 新潮社