ネタバレ・感想あり悲しみの歌(新潮文庫)のレビュー

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「海と毒薬」のその後
2025年10月28日
米兵捕虜の生体解剖事件に関わった勝呂医師のその後を、新宿を行き交うさまざまな人々の姿も交えながら描いた作品。事件後30年を経ても決して消えることのない、過去の罪を背負って生きる勝呂。そして勝呂を追う新聞記者・折尾。「人間の悲しみが分からず、人間の悲しみを知らず」、そして「人生のすべてを正しいことと悪いことに割り切る」折尾だけでなく、それぞれが己の信じる正義の名の下に勝呂を追い詰めていく人々。その「正義」がどんな結果をもたらすのか、考えもせずに。確かに勝呂の過去の罪は許し難いが、彼のその後を「自業自得」と簡単に切って捨てられるほど、この世に生きることは単純ではない。そこに「生きる悲しみ」が生まれるのではないだろうか。この作品はそんな「悲しみ」に満ちている。
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続編ではあるのだが
2025年5月23日
位置づけとしては「海と毒薬」の続編にあたるのだが、これ単体でも十分な出来。苦しむ女のために罪をわけあう勝呂と、それを糾弾する人間、そしてボンクラなガストン。遠藤周作の作品理解にも役立つと思う。
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これを読まねば終わらない。
2022年11月13日
体調不良で職場を早退した日、寝転んで読み始めたら、体調不良にも関わらず最後まで読破。『海と毒薬』と『おバカさん』は読んだことがあったけど、この作品を読まずして終わりではないことを知った。人生で一度は読むべき作品だと思う。
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作家名: 遠藤周作
出版社: 新潮社