このレビューはネタバレを含みます▼
国語の教科書で初めて読んだ時の印象は「なんか暗い話だな」くらいで終わったが、その後何年も経ったある日、ふともう一度読みたくなった。
最後まで読み終わり、再び冒頭から途中まで読み返して「先生」の謎めいた言葉に隠されていた意味を思い、改めてタイトルの「こころ」の三文字を眺めた時、つくづくと「怖い作品だな」と思った。Kの心の中と自死の真相。「先生」に全てを打ち明けられた「私」の、その後の苦悩や葛藤。いくら考えても、明確な答えはもちろん分からない。分からないから怖いし、何とも言えないモヤモヤとした後味の悪さ、やり切れなさを感じないではいられない。それなのに、数年経つと、また読みたくなってしまうのだ。
これから先も、きっと何度も繰り返し読むだろう。間違いなく不朽の名作の一つだと思う。