男である投稿者に果たして得るものがあるのか、と半信半疑で手にとった本書。女流でも作家でもない身には正直、「なるほど。そういうものか」という心の反応しかしようのない部分が少なくなかったものの、一カ所、「おっ」と思う件があった。それは「親兄弟に見せられないような恥ずかしいものを書け」という著者の助言。躊躇いの壁を打ち破ったエネルギーを読者は感じて気持ちを高揚させる、と理解してストンと腹落ちした。著者が、書くことは体力勝負と書いているがむべなる哉。
また本書には随所に小説作品の引用もなされ、未読の作品にまだまだ楽しませてくれそうなものがあることを知ったのも収穫。藍川作品の愛読者諸兄(失礼。女性読者ももちろんのこと)はご一読を薦める。