このレビューはネタバレを含みます▼
この小説は、2012年に発行されました。
私は、表紙の絵が自分の好きなイラストレーターの小説しか読まない我儘な読者です。十月絵子先生の作品は余りないので、この小説は希少価値があります。
主人公の『オルランド王国』の王、アルマンと騎士、ラドクリフは、人に対して悪意を抱いたことがない、心の清い人です。ですから、悪意を持って策略を張り巡らす人を疑うことをしないので、相手の計略に落ちてしまいます。
しかし、それではお互いを守り、国を守ることができないことに気づき、最善の道を選ぼうと努力を重ねます。
隣国の王、エドモントは、心にいつも悪意を育てているような人ですが、占いをうのみにした父王によって、肉体と心を傷つけられて、猜疑心の塊になってしまったように思われます。身近にいる宰相は、特に彼を操っているように思わないけれども、デモンズという名前が何とも怪し過ぎます。
結局、魔女の力に頼った人は皆破滅してしまいます。怪しい力を頼らずに、健全な精神を保てた者のみが最良の結末を迎えることができます。
エドモントはダリルに愛されていたことを今わの際に知ります。多くの人を死に追いやった彼は自分の命でその罪を償うのです。