このレビューはネタバレを含みます▼
さいとうちほ先生の「子爵ヴァルモン」を読んで、あらすじと人間関係を把握してから、こちらを読みました。退廃したフランス社交界を舞台に繰り広げられる恋愛遊戯、そしてその裏に潜む残酷な罠。手紙だけなのに、登場人物たちの心の動きや各個人の性格が、行間から滲み出るように少しずつ、でもはっきりと分かるように、実に巧みに描き出されています。作者のラクロは本業は軍人だったそうですが、一体どうやってこんな描写力を身に付けたのでしょう?不思議です。この作品はかなりページ数が多いのですが、あえて私は毎日1通ずつ読んで、約半年かけて読み終わりました。相手からの返事を待つ作中の人物のような気持ちを楽しめるので、じっくりゆっくり味わって読みたい方におすすめです。